2026/02/01
2/1巻頭言「本当の王―尻馬に乗らないために」その③
(これは2026年の新年礼拝宣教の全文。希望シリーズは、終了後再開)
そもそも日本国憲法には、このように規定があります。「天皇又は攝政及び國務大臣、國會議員、裁判󠄁官その他の公󠄁務員は、この憲󠄁法を尊󠄁重し擁護する義務を負ふ」(第99條)。平和憲法を守る義務を負う国会議員、ましてや内閣総理大臣が「戦争することもあり得る」と軽々に語ることに驚きを隠せません。
しかし、私が今回、最も危惧するのは、その発言を多くの民衆が歓迎しているという事実です。毎日新聞の調査(2025年12月)では67%が撤回する必要はないと答えています。好戦的で、強気の政府の支持率は高止まりをしています。それは「ロバに乗っているような情けない王はいらない。私たちが求めているのは馬に乗る強い王だ」と考える民衆が増えていることを示しています。「馬に乗った王の登場」もさることながら、それを熱狂的に支持し「ホサナ!万歳!」と迎える民衆の存在に私は少々狼狽しているわけです。
今、世界各地で「馬に乗る王」が無秩序に力を行使しています。ロシアのウクライナ侵攻、中国の東シナ海での動き、イスラエルのガザ虐殺、そしてアメリカによるベネズエラ侵攻(これは新年礼拝の後の出来事:加筆)。紛争や戦争が広がり続けていますし、どう見ても大国の横暴としか言いようがありません。種々の問題はありつつもこれまで「国際協調」を旨としてきた世界秩序は壊れつつあります。「自国第一」と胸を張り排外主義や分断を是とする「強い者勝ちの馬に乗る王たち」が人気を集めています。それが彼らを一層調子づかせています。王たちは、さらに強力な馬を手に入れようと躍起です。
日本では、安全保障政策を助言する立場にある官邸幹部が「私は核を持つべきだと思っている」とこの機に乗じて発言しました。唯一の戦争被爆国である日本の政府中枢がそのように発言したことに恐ろしさを感じます。そのような乱暴な意見を政府高官が口にできる背景には「民衆は馬に乗る王を歓迎している」という認識があるからだと思います。そんな民衆の存在に安心しつつ彼らは発言し行動しているのです。今後も「馬に乗る王たち」は、強力な軍馬を増し軍拡競争は激化するでしょう。私は心から心配しています。
一方人々の生活は一層厳しい状況となっています。「働いて、働いて、働いて、働いて」と王たちは号令をかけますが、実際には「はたらけどはたらけど猶(なお)わが生活楽にならざり、ぢっと手を見る」と啄木が歌った通りです。物価高騰は治まらず、社会保障を議論せぬまま受けの良い「減税」の話が飛び交っています。
ただ、不思議に思うのは、なぜかそういう現実に対する批判が「馬に乗る王」には向かわないということです。民衆は「馬に乗る王」にそれでも期待し、彼らを歓迎しています。
(続く)