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2026/03/01

3/1巻頭言「家族機能の社会化 “助けて”といえる街へ」その②

【今週のことば】 
(先日NHK総合の『視点・論点』に出演した。これはその時の原稿)
 戦後、日本社会は「日本型社会保障」という構造を作ってきました。
 これは大学卒業一括採用、終身雇用を基盤とした安定雇用により働き手に家族分の給料と社会保険を企業が保障するという仕組みです。結果、住宅ローンが組め、持ち家取得が広がりました。「家族がいる」ことが前提で介護保険など様々な社会保障制度も構築されてきました。
 しかし、この構造が崩れ始めて30年程が経ちました。非正規雇用の労働者は四割に近づき、持ち家率も年々下がっています。夫婦世帯の7割が共働きとなりました。
 女性の社会進出が進んだことは歓迎すべきことですが、不安定な雇用により低所得者が増えたことも事実です。男性の生涯未婚率は既に3割、2050年には65歳以上の単身男性の約6割が生涯未婚となり、介護や死後事務を担ってくれる子どもや孫の世代がいない方々が増加するとの調査もあります。
 では、家族が果たして来た役割・機能とは何だったでしょうか。基本的に衣食住、全般にわたると言えますが、私は「気づきとつなぎ」だと考えてきました。日常的に一緒にいるわけですから「変化に気づいてくれる」。それが家族です。自分の事は自分が一番知っていると思っている人は少なくありません。が、案外そうでもありません。家族から「顔色が悪い」と言われて「自分の状態に気づく」ことがあります。そういう家族がいないと気づけず、対応が遅れることになります。ただ、家族は専門家ではありませんから、当然直接治療など出来ません。だから専門職に「つなぐ」。これが家族機能です。専門的な相談窓口の手前に「気づきとつなぎ」があり、様々な制度が機能してきました。しかし、それが危うくなりつつあります。今後、どんな良い制度があっても、制度につながらない人が増加すると思います。
 そもそも「気づきとつなぎ」があることで早期対応、予防的対処が可能になります。結果、不要な社会保障支出の抑制にもつながります。しかし、単身化が進み、家族機能が脆弱化すると手遅れの危険も増えますし、社会保障費も上昇すると思われます。
 そこでNPO法人抱樸では、これまで家族が担ってきた機能を地域で担う仕組みを創ってきました。37年前、ホームレス支援から活動を開始しました。路上から自立した方は3,800人を超えました。そこで見えてきたのは「縁が切れている人が多い」という現実です。危篤になっても、お亡くなりになっても家族は来ない。9割以上がそのような方々でした。自立後も孤立が続く。これは大きな問題でした。     つづく

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