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2021/08/08

8/8巻頭言「あれから三年―松ちゃん、会いたいよ その⑯」

求刑6月に対して4月の実刑となった。さらに未決拘留期間3ヶ月が認められた。判決文には、本人への支援と治療が必要であることが明記された。
求刑通りでは弁護士の働きや私たちの支援の意味が問われ、本人には絶望感だけが残る。かと言って即日釈放なら「ラッキー」で終わる。松ちゃんは、判決後さらに1ヶ月収監されることになった。これは、罪の重さと応援してくれる人の存在を同時に噛みしめる良き時となると思われた。判決は神の配剤だと思う。これからの1ヶ月の日々が松ちゃんにとって、自分を振り返る時となると信じる。そして、僕らにとっても「覚悟を決める」時となった。
閉廷後、再び手錠をかけられひもに繋がれた松ちゃんは、傍聴席に座るチームの一人ひとりの顔を確認するよう見つめていた。このような「つながり」が松ちゃんの中に澱(おり)のように少しずつ溜まっていく。すべては無駄ではない。今回の思いがけない事件も「失敗」かも知れないがそれだけとも言えない。神はあらゆることを通じて人を「つなげよう」とされているのだ。
なのに理解できず「あの人はダメだ」と思ってしまう。しかし、そうではない。そうではないと信じる。そんなことを考えたクリスマスだった。東京では「年越し派遣村」が始まろうとしていた。その後、私たちチーム松井は足しげく面会を重ねていった。そして、新しい年が来た。
1月25日。松ちゃんは出所する。迎えに行って良いものか。再び「自分で帰って来なさい」というべきか。さて、第一声なんと声をかけるべきか。チーム松井のメンバーは、一カ月間、そんなことを考えていた。僕は、松ちゃんに手紙を書くことにした。
そして釈放当日。結局、僕らは迎えに行った。そして「おかえり」と声をかけた。松ちゃんは、少し照れながら「ご苦労さん」と返してきた。カチンと来た。「ご苦労さんやないやろ。こういう時にはどういうのか少し考えてをみて」と言う私に松ちゃんは反論するわけでもなく「笑って」いた。
出所当日、チーム松井は教会で待機していた。帰り道、松ちゃんは、「何か土産を買いたいからどこかに寄って」と言い出した。そして松ちゃんは、ミスタードーナツの箱を片手に教会に帰ってきた。チーム松井は、その「土産」に対して「そんなものでごまかされてはなるものか」と思った。
話し合いが始まった。これまでの経緯を確認し、今後どうしたいのかを本人に尋ねる。伴走型支援はそこから始まる。「僕らは準備万端整っているわけ。あとは松ちゃん次第。さあ、どうする」と迫る。松ちゃんは、「そう言われてもなあ」ととぼける。「いや、今日は『まあまあ』とは言わない。松ちゃんこれからどうしたいのか、ちゃんと自分で言うべきだと思う」。松井さんは、何かを噛みしめているようにこっちを見ていた。
自立支援住宅に戻るという選択肢もあったが、今回のことは松ちゃんと僕らの信頼不足が原因だと考え、わが家でしばらく一緒に暮らさないかと提案した。松ちゃんは、ゴネることもなくわが家で暮らすことになった。松ちゃんの荷物の中には出所前に僕が書いた手紙があった。松ちゃんは、それを大事にもってくれていた。

つづく

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