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2020/04/19

4/19巻頭言「二つのソーシャルディスタンスー見える距離は広く、見えない距離は近く」

4月16日、新型コロナ感染に関する「緊急事態宣言」が全国に拡大された。専門家は、人と人との接触の8割削減を提言。これは相当厳しいが頑張るしかない。
そんな中「社会的距離」(ソーシャルディスタンス)という言葉を耳にすることが増えた。感染を防ぐための人と人との距離の事。飛沫は2メートル程度飛ぶ。このウイルスは飛沫感染だとされるので、何をするにしても距離を空けることが重要になる。
世界の感染者数を見ると米国が72万人で最大、死者も3万人を突破。日本は感染者がいよいよ1万人に届く段階だが、感染拡大は続いている。日本の感染者数は世界57位。決して多くない(4月18日午後6時時点)。ちなみにその他の国の感染者数は、スペイン19万人、イタリア17万人、独14万人、仏10万人、英10万人。日本が少ないことがわかる。この数が事実なら日本は抑え込みに成功していることになる。一方で、多くの人が指摘するのは「そもそも検査をしていない」という点。知人の医療関係者からも「検査を依頼しても断られる」という悲鳴が私のところにも届いている。症状が出ないまま、あるいは「風邪」と扱われている人が無自覚のまま感染を広げているとしたら大変なことになる。それは私かも知れない。死者も他の病気扱いになっている人は本当にいないのか。
データを見るとメキシコの感染者は6,875人で32位。これを見て一つ気になることがある。OECDの「社会的孤立調査」である。これによると日本の孤立率は15%で20カ国中最も高い。第2位が実はメキシコの14%で、日本もメキシコも孤立が随分進んだ社会なのだ。ちなみに米国3%で日本の5分の1、スペインは日本の3分の1、イタリアは2分の1、ドイツも5分の1である。つまり、孤立が進んでいた国の感染率が低いことが解る。上記の「検査の有無」問題があるので何とも言えないが、日本とメキシコの感染者数の少なさの要因がパンデミック(世界的流行)以前からの「孤立化」、すなわち「人と人の距離が遠くなっていた」ことが要因だとしたら、どうなのか。感染者が多い方が良いなどと言っているのでは当然ない。だが、「人との距離を遠くし、他者との接触八割削減」を目指さざるを得ない私たちは、これまでの孤立化に拍車をかけることになるのではと心配だ。さらにコロナ後の日本社会がどうなるのかも。
繰り返すが「物理的な意味での社会的距離」が感染防止においては重要。しかし「社会的距離」には、もう一つある。それは「心の社会的距離」である。「物理的距離」を空ける努力をする一方で「心の距離」を縮める努力をしなければならない。感染拡大前から孤立化が進行していた日本社会においてこのことは大変重要なんだ。コロナを生き延びた後が孤独死ではいけない。
見える距離(物理的なソーシャルディスタンス)は広く!見えない距離(心のソーシャルディスタンス)は近く!私は、最近だんだんと寂しくなってきている。人恋しくてたまらない。みんなと会いたい。人に対する思慕を募らせている。喪が明けたら今まで何倍も濃厚接触してやるぞ!コロナ状況に飲み込まれてはいけない。見えないものこそが大事なのだ。イエスは言う。「見ないで信ずる者は、さいわいである」(ヨハネ福音書20章)と。

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