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2025/07/06

7/9巻頭言「信じ、弱く、愛し、近づく―この時代を生きるための信仰的課題」その⑦

④ 近づこう―異質な他者と共に生きるために必要なもの 「赦し」
 三つ目、最後に申し上げたいことは「近づく」ということ。東八幡キリスト教会は、昨年に引き続き「近づこう」を教会標語とした。
 「Ⅾ:ダイバーシティー(多様性)」。「E:エクイティ(公平性)」。「I:インクルージョン(包摂性)」。この間、多くの国々、企業、様々な場所や組織においてこの「DEI」の確立を目指してきた。しかし、これらを否定する大国のリーダーが現れた。トランプ大統領は、就任直後に「米国において性別は男と女のみとする」という大統領令に署名し、LGBTQなどの権利を尊重してきた部署や役職を解任した。これらは民主主義の土台といえる事柄であり、それは米国が民主国家を自ら自壊させる行為であった。
 そのような大統領を見た米国IT企業大手のメタやアマゾンは社内の多様性プログラムを廃止することを表明した。他にもマクドナルドや日産自動車もこの方向に舵を切ろうとしている。数年前から多くの企業でSDGs(持続可能な世界のための一七の目標)が推奨され会社員は、こぞって例のバッチを胸につけていたが、今はほとんど見ない。20230年にそれらの目標は達成されるはずであったが、あれはどうなったのか。さらに「DEI」も多くの企業がそれに取り組んでいたが、トランプ大統領の登場によって手のひらを反す企業が今後も増えるだろう。この現実はこれらの取り組みが全然真剣ではなく、本気でもなかったことを露呈させた。
 2025年1月に東八幡キリスト教会において講演くださった内田樹さんは「共感(のフリ)が分断を生む」と指摘された。「共感(のフリ)できる」ということでつながっていくとその結果「共感しない・できない存在」を排除することになる。同じような考えの人ばかりの世界となり、「僕は違う」と言えなくなる。当然、多様性は認められなくなる。このような社会の在り方をファシズム(全体主義)と呼ぶ。世界は再びファシズムへと戻ろうとしているのか。歴史は教えている。ファシズム国家は、一見強固に思えるが、人々の自由を奪い、そもそも自分で選んだわけではなく、その時の「空気」を読んで「共感(のフリ)」をしているに過ぎない。だから、ファシズム国家は、実は脆弱で全滅の危機にさらされる。強硬で強権を振りかざす大統領に多くの議員が忖度し、ご機嫌をうかがう様子がニュースを通じて散見される。かつてこの国もそんなリーダーがいたことを思い出す。
つづく

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