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2013/06/09

新しい老後

先日読売新聞本社で取材を受けた。
テーマは、高齢者の孤立について。近々記事になる。二時間に及ぶインタビューだったが記事になるのはごく一部。まあ、いつものことだが。

「(前略)私たちの支援は、食べ物を渡し、アパートに住んでもらうことから始まった。ある日、アパートに入居した元ホームレスの高齢男性を訪ねると、部屋にぽつんと座っていた。そこには路上と変わらない孤独があった。以前は『畳の上で死にたい』と言っていた男性が、『最期は誰が看取ってくれるのか』と問うてきた。単に食料や家があっても問題は解決しない。人間らしく生きるには人とのつながりが必要だと痛感した。高齢者の孤独死も、真の問題は一人で亡くなることではない。生きながらにして、社会的な死を迎えていることだ。
孤立した高齢者のため、各地で見守り活動が行われている。しかし、見守られるだけの生活が、本人にとっていいとは思えない。元ホームレスの高齢者は、援助されるだけの生活を続けるうち、元気を失っていった。そこで、『仲間の会』を作り、サークル活動や自宅訪問、仲間の葬儀などを、自分たちでやってもらうことにした。互いに支え合う関係ができると、彼は元気を取り戻していった。人は誰かのために生きる存在だ。助けられた人も、助ける側になることで、『自己有用感』を取り戻せる。見守りの仕組みと併せて、相互に支え合う関係作りも進めるべきだ。(中略)未婚率の上昇や非正規労働者の増加で、将来さらに低収入の単身高齢者が増えると懸念されている。だが、終身雇用の崩壊といった変化が、従来とは違う多様な生き方への道を開き、新たな縁を育むかもしれない。現役時代から地域に様々な縁を作れるような生き方、働き方を考えていく必要があるだろう。」

 後半言いたかったのは、終身雇用の崩壊、つまり非正規雇用の増加は社会の不安定要素とだけと捉えられてきた。
終身雇用が最大のセーフティーネットであり、社会の安定化を担ってきたのは事実だが、その結果一元化された生き方、会社という一つの価値観の下で生きるという結果をも生んだ。
退職とともにそれが一気に無くなる。他に何もない老後が始まり孤立する。
「老後は趣味でも」という人がいるが、これまで仕事以外何もなかったことを証明するような言葉に聞こえる。
終身雇用は崩壊し(若者の非正規率は五〇パーセントになっている)若者の多くが非正規雇用となった。
これは一つの会社や人間関係に何十年も身を置く生き方ができないという現実を示している。
確かに不安定。その中で若者たちは、いくつもの職場を経験していく。
望んでいたわけではないが、若い頃から多くの人との出会いの中生きていく(そうせざるを得ない)。
しかし、そういう生き方が一元化された終身雇用制時代を生きた高齢者とは違う生きたを生むかもしれない。

「神はすべてを益としてくださる」(ローマ八章)。

大変だと言っていても仕方がなし。そういう発想の転換が必要なのだと思う、というようなことを最後長々と話していたのだが。

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