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2023/08/13

8/12巻頭言「奥田牧師の解決しない相談コーナー その①」

(先日の「東八幡教会・星の下まつり」の際にそんなコーナーを作り、参加者で悩める小羊奥田牧師への回答を考えていただいた。その時のやり取りはともかく、自問自答してみた。)
【相談内容】 私は、そもそもあまり怖いものがない人間でした。お化けも幽霊のたぐいも大丈夫。雷も親父も平気。「饅頭怖い」などと洒落たことも申しません。
しかし、どうしても怖いものがあるのです。考えるだけでも身の毛もよだつ。笑われるかも知れませんが、私はアリが怖いのです。あのアリです。小さくて、黒くて集団で移動する、あのアリです。子どもの頃、昆虫好きの私は公園でアリの行列を観察していました。アリたちは何かをせっせと運んでいました。「暑いのに精が出ますね」と最初は優しい気持ちで眺めていたのです。すると右から来たアリが、左から来たアリと出会いがしらに頭の角みたいなやつで「チョン、チョン」とやっています。何か意見を交わしているようです。すると二人とも「そうだ、そうだ」とうなずいて別れていくのです。そして次のアリがやってきて「チョン、チョン」。やはり「そうだ、そうだ」とうなずいては別れていく。何が「そうだ、そうだ」なのか。彼らは何の情報交換し、何にうなずいているのか。しばらくしてわかったのです。彼らが私の悪口を言っていることを。何百、いや何千というアリが私の悪口を天下の公道で言い合っている。本人がそれを聞いているにも拘わらず何一つ気にすることなく「ああ、聞いてましたか、すいません」と反省もなく、白昼堂々と「悪口」を言い広めているのです。
「いっそ踏みつぶしてやろうか」とも思いましたが、たぶんその虐殺事件は明日には公園全体に広がり、その後地域一帯に、そして日本全国に、さらに地球全体に言い広められてしまうでしょう。もう逃げることは出来ません。無論、戦うことも出来ません。考えると怖くて怖くて眠れません。私は、どうしたらいいのでしょうか。
【回答】 あなたは、大切なことに気付いていません。目先の小事に捕らわれると大事を見失う。あなたはまさにその過ちを犯すところでした。考えてみてください。あなたは自分でも知らないうちに超特殊能力を身に着けていたのです。そうです。あなたは「アリ語」がわかる最初の人類なのです。これは「それこそ恐ろしい」ほど貴重な能力です。
あなたは、アリとのコミュニケーションが出来た人として使命を果たすのが筋というものです。怖がらずにどんどんとアリさんと話してみてください。もしかすると「あっちの公園の下には液化天然ガスがあるぜ」とか、「こっちの木の下には汚染されていない湧水が眠っているぜ」など、地底に暮らすアリしか知らない秘密の情報があるやもしれません。資源枯渇に苦しむ人類を救う情報をもたらすのはあなたなのです。そうであれば多少の悪口はガマンしましょう。それ無視して一層仲良くなってさらに重要な情報を教えてもらいましょう。お返しも忘れず。「ブランコの下にさっきこどもがアイス落としてましたよ」とか、時機にあった情報を提供しましょう。きっと、悪口も減るはずです。そもそも悪口を言われて悪口で返す、そんなことをするとロクなことにはなりません。ましてや踏みつぶすなど考えてはいけません。アリは戦争をしませんが人間は悪口を悪口で返しているうちに戦争になります。この際、あなたの能力を生かして人類とアリとの共存国家を設立させ世界を平和に導いて下さい。あなたならできます。

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