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2017/09/24

子どもは社会の一員であって、おとな社会の道具ではない

安倍総理が解散総選挙をするという。理由は「人づくり革命」の推進。消費税率を10%に引き上げ、その増収分の使いみちを見直し、幼児教育や高等教育の無償化に充てるという。これまで高齢者中心だった「日本型社会保障制度」を「全世帯型」に変えるという。子どもに税金が使われることは良いことだ。さらに、「日本型雇用慣行」が崩れた社会において社会保障を「全世帯型」に変える必然があることもうなずける。
ただ、これまで言ってきた消費税の使い道、つまり財政再建が先延ばしになれば、結局その分を将来子どもたちに負わせることになる。そもそも、子どもを大事にするのは良いが「だから解散総選挙」というのは、よくわからない。森友や加計の問題隠しだと野党は批判する。それ以前に新党結成の事態が進む中、「今なら勝てる解散」などとも揶揄されている。案外本音からも知れない。だとすると「子ども云々」が単なる言い訳に聞こえる。
1951年5月5日児童憲章が制定された。その前文は「われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める」から始まる。そして「児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境の中で育てられる」と原則が掛かれている。児童は「社会の一員」なのだ。だから、どんな境遇に生まれた子どもでも「社会の一員」として社会そのものが責任を負わねばならない。2014年、国は「子供の貧困対策に関する大綱~全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指して~」を制定。ここでも「子どもが夢と希望を持てる社会の実現」を大人たちは約束している。昨日、今日の問題ではない。
果たして今回の解散総選挙の必要を子どもたちにどのように説明できるだろうか。総選挙に使われる費用は600~800億円といわれている。ちなみ「子どもの貧困対策」を含む「生活困窮者自立支援制度」に掛かる国の予算は400億円程度。選挙は議会制民主主義の根幹にかかわるもので、簡単に「無駄遣い」と言うわけにはいかないが、今回の事を「社会の一員」である子どもたち、とくに将来社会の一員として先の世代が積み重ねた借金を払うことになる子どもたちにどう説明するのか。また、今年生まれた子どもたちが30歳になる時、年金受給者一人を一人の労働者(今の子どもたち)が背負う「肩車型社会」となることが分かっている。「子どもは社会の一員」と謳った「児童憲章」は、「社会の一員だから子どもも責任を果たせ」と言いたかったわけではない。「子どもを大事にしよう」「こどもを大人のダシに使わない」「子どもを利用しない」「子どもは大人の道具ではない」「大人は、自分同様、ひとりの社会人として子どもと向かい合う」と宣言したのだ。
イエスは言う。「誰でも子どものようでなければ神の国には入れない」。さて選挙になる。誰が「神の国」に入ることができるのか。そんなことを考えながら大人としての責任を持って投票したいと思う。

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